【院長ブログ2】片頭痛のはなし
片頭痛とは
片頭痛とは、一般には読んで字のごとく左右どちらかの頭が痛くなる病気の呼び名です。世間でもよくつかわれているワードで、患者さん自らが「わたし片頭痛なのです」とおっしゃられる場合も多くみられます。しかし、医学的につける診断名の片頭痛の患者さんは意外と少なく、頭痛で来院される方のうち1/3~1/4程度です。本当の片頭痛とは、どちらか左右ということはなく両側に起こることが40%であります。特徴的なズキン、ズキンする拍動性の痛みが多くみられますが、拍動性ではない場合も50%ほどあります。診断基準としては、片側の痛み、拍動性、強い頭痛、頭痛のせいで日常生活に支障がある、このうち2つが当てはまることと、吐き気または吐いた、光や音に過敏になる、このうち一つが当てはまることが必要です。さらに、こうした痛みを5回以上経験してはじめて「あなたの病気は片頭痛ですね」ということになります。また、片頭痛患者さんのうちの1/3では頭痛が始まる前に前兆症状を起こす方がいます。最も多いのは、閃輝暗点という視覚性前兆が知られています。
私も立派な片頭痛患者でした。小学生のころから、目の前にギラギラした光が現れ、その後に左の頭半分がずきんずきんと痛み始めました。こうなると音や光がとてもうっとうしくなり、布団をかぶって寝込んでしまいました。中学生ころになると、前兆症状で多いのは視野の真ん中が見えなくなるといった症状で、テスト中に問題文の真ん中が見えなくなり、大変困りました。働き始めてからも、睡眠不足や長い手術の後にギラギラがやってきました。私の若いころには、カフェルゴットとエルゴタミンという2種類のおくすりしかなく、あまり効果もなく、前兆時に服用しないとかえって症状がひどくなるものでした。その後、片頭痛の研究が進み、痛みを引き起こす物質に直接的、間接的に働いて症状を改善する薬の開発が進みました。こうした薬の恩恵にあずかる前、私が40代の後半に差し掛かるようになって、自然に片頭痛がなくなりました。前兆がやってきても頭痛はやってこなくなりました。本当は良いことですが、年を取ったなという感情と、今の片頭痛の患者さんは良い薬がたくさんありうらやましいなという感情を持っています。私の若いころに今のような薬があったなら、もう少し勉強にせいが出たのではないかと思います。
片頭痛は仕事や日常生活に大変な支障をきたします。学校や仕事を休まなくてはならないことや、人との付き合いがおっくうになったりすることなど、生活の質を低下させます。正確な診断と適切な薬物治療でほとんどの患者さんは生活の改善が得られます。当院では、片頭痛のタイプに合わせた内服薬や点鼻薬、注射薬などを用意しています。また、鎮痛薬の内服回数が増えすぎた場合の予防薬についても考慮しています。このブログを読まれた方は、躊躇せずにご来院ください。かならず次のステップに進めるようになります。